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【眼鏡とレンズのお話】Vol.9 紫外線についてのお話

更新日:2023年10月11日



意外と知らない、眼鏡やレンズの正しい知識を得ることは、ご自身の目や視力をいたわることに役立ちます。健康で快適な視生活を送るための参考にしてみてください。




Vol.9 紫外線についてのお話


夏に増加する病気としては熱中症などがあり、ニュース等で多く取り上げられていますが、その一方で意外と知られていないのが、紫外線を原因とする目の病気。

1年のうちでも紫外線の量が多くなるこの時期は、目の健康を守ることも大切です。

そこで今回は、紫外線を原因とする目の病気を取り上げるとともに、

メガネ、サングラスでの紫外線対策を紹介します。


1.紫外線とは



そもそも紫外線(UV=UltraVioletの略)とは、以前紹介した虹の7色の「可視光線」ではなく、人間の目では見る事の出来ない、紫よりも短い波長です。 メガネやサングラスで紫外線対策と言われると、レンズに濃い色が入ったものを想像される方が多いと思いますが、紫外線は目に見えない光ですので、レンズカラーの有無とは関係がありません。透明なレンズでもUVカットが施してあれば紫外線対策になるのです。




その紫外線は波長の長さによって3種類に分類され、波長の短い順に「UV-C」「UV-B」「UV-A」と呼ばれています。種類によって性質が違うので、それぞれがもたらすダメージを知ることで、日焼け止め選びの参考などになります。 ※UV-C大気圏(オゾン層)などに全て吸収され、地表には届きません。





UV-A

波長が長いため皮膚の奥深くまで到達し、真皮にあるコラーゲンなどを破壊することで、しわ・たるみなどの原因となります。また、一部は目の奥にある水晶体や網膜まで到達するので、白内障の原因と考えられています。日焼け止めの効果はPA(Protection grade of UV-A)で表示されます。



UV-B ほとんどは大気圏で吸収されますが一部は地表に到達し、人体に悪影響を及ぼします。皮膚細胞のDNAを傷つけるなど、主に皮膚や目の表面に作用し、炎症・シミの原因となります。また、皮膚ガンも「UV-B」との関連が指摘されています。日焼け止めの効果はSPF(Sun Protection Factor)で表示されます。




 

2.紫外線が原因で起こる眼の病気



紫外線を原因とする目の病気としては、白内障、翼状片、黄斑変性症、光線角膜炎などが挙げられます。 このうち、白内障と黄斑変性症に関しては、「加齢が最たる原因として発症する」目の病気として非常に有名です。しかし、これらの病気は根本的な原因が解明されておらず、加齢とは別に「紫外線を浴びること」も数ある原因の1つに考えられているのです。


白内障‐はくないしょう‐ 紫外線は眼の水晶体で吸収され、長い間紫外線を浴び続けることで水晶体のたんぱく質に変化が起こり、濁ってきます。これが白内障です。白内障はお年寄りの目の病気と思われがちですが、WHO(世界保健機構)の報告では白内障の約20%は紫外線が原因とされています。


翼状片‐よくじょうへん‐ 翼状片とは、結膜(白目の部分)が異常に増殖して角膜(黒目の部分)に覆い被さってくる病気のこと。覆い被さる形が鳥の翼のように見えることからこの名がつきました。その症状は、結膜が覆い被さってくるため、角膜が引っ張られて乱視が出現する、充血しやすい、目がゴロゴロするなどのほか、角膜の中央部まで覆い被さってくると視力が低下してきます。


黄斑変性症‐おうはんへんせいしょう‐ 黄斑は網膜の中心部にあり、視力を保つために最も重要な部分で、ものの形や大きさ、色、明暗などを識別する細胞が集まっています。黄斑が、年齢を重ねることなどによって障害されると、視力が低下したり、ものがゆがんで見えたりします。場合によっては、視力低下が突然起こる、視界の中心が見えないといった状態になることもあり、日常生活に不自由をきたします。


光線角膜炎‐こうせんかくまくえん‐ 紫外線角膜炎や雪目と呼ばれることもあります。目に強い紫外線を浴びてしまうことが原因で黒目の表面の透明な膜(角膜)にキズができる病気です。 その結果、目の痛みや異物感が出たり、涙が出て白目も充血します。キズの程度によっては、まぶしさを感じたり物がかすんで見えることもあります。


 

3.UVカットレンズについて


今現在、サングラスとして出来ている商品はもちろん、このお話の初めにお伝えした通り、透明なメガネレンズでもUVカットが施されている商品がほとんどです。 しかし、このUVカットの方法が2種類ある事をご存じでしょうか?

UVカット加工 レンズ表面にUVカット効果のあるコーティングを施すもの。安価にできるメリットがありますが、こすり傷や熱による変形などでコーティングが剝がれてしまうことがあり、レンズの色が入ったままでもUVカット機能が無くなってしまうことがあります。


UVカット素材 レンズを作成する段階で、UVカット効果のある素材を混ぜているもの。度付きメガネに入っているレンズのほとんどはこのUVカット素材が練りこんであります。レンズ自体にUVカット効果がありますので、傷が付いてしまっても半永久的にその効果が続きます。度無しのサングラスレンズでも、UVカット素材を使っているものもあります。



TVやインターネットの情報などで「濃い色のサングラスをしていると、瞳孔が開いてしまい、多くの紫外線を目が吸収してしまう」と言った話が出ますが、上記の「UVカット加工」を施したサングラスが、経年変化などでコーティングが落ちしてしまい、その効果が無くなっている状態でお使いであれば、そういうことが起こりえると思います。ですので、紫外線対策としてのサングラスをお考えの際は、「UVカット加工商品」なのか、「UVカット素材を使った商品」なのかを確認する必要があります。 まぶしさを軽減するためには、色が濃いレンズカラーの方がその効果は高まります。濃いめのレンズカラーは快晴や西日の運転、アウトドアなどで活躍してくれます。日差しが多くない時間帯や普段使いでは、薄めのレンズカラーでも十分まぶしさの軽減に繋がります。お使いになる状況や環境に合わせて、サングラスも使い分けをしていただきたいです。


 

4.紫外線のいいところ


ここまで、紫外線対策についてご説明いたしましたが、最後に紫外線の良いところもお話します。 紫外線が当たると、食事だけでは補いきれないビタミンDを皮膚でたくさん作ることができます。そして、ビタミンDはホルモンのように多彩な作用があることが分かっています。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の形成や筋力を高める効果が広く知られていますが、その他にもガンや感染症、糖尿病などの予防にも働いているといわれています。 現代人はビタミンD不足なケースが多々みられますが、その原因は日中を室内で過ごすライフスタイルの人が多いこと、外出しても日焼け止めを外用して常に紫外線を防御していることなどが挙げられます。 1日15分程度の日光浴でも日光を浴びることで、幸せホルモンと言われる「セロトニン」も分泌され、セロトニンは気分を安定させる作用があり、やる気の向上につながります。 洗濯物も外に干すことで殺菌や脱臭効果も得られます。 目の健康を考え、対策と活用のバランスを上手に取っていきたいですね。






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